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更新日:2023年12月1日

第1108回長野県教育委員会定例会 会見要旨

1 日時

 令和5年(2023年) 10月11日(水)

 午後4時35分から午後5時35分まで

 

2 場所

 県庁本館8階 教育委員会室

 

3 会見要旨

【長野県特別支援教育ICT・ATリソースセンターについて】
 長野県における特別支援教育におけるICT活用の特徴的な取組として、各特別支援学校にはICT活用をサポートする専任の担当者が配置され、実態把握や指導助言、研修の強化を行っている。好事例の集約と共有も行われ、児童生徒一人ひとりの個別の活動を重視しながらICT活用が進められている。しかし、課題も存在し、全ての特別支援学校の教員に専門性を身につけさせるために研修の充実や、学校間や地域間の差の解消、そして現場ですぐに取り入れられる方法を現場の教員に広めるための情報の共有が必要である。
 そのため、令和5年度ではICT・ATリソースセンターを設置し、個別の特性に合わせた機器やアプリケーションを提供し、外部専門家の招聘による研究の充実というのを柱にして進めてまいる。また、大学や企業と連携した研究や実践の蓄積の窓口としてまいりたい。
 現在、県内2か所にリソースセンターが設置され、先進的なICT・AT機器の試用が可能となっている。ICT・ATリソースセンターでは、個々の困難に応じたアクセシビリティ機器も充実させており、各学校において充実した活用を目指して、ブロックリーダーやICT推進担当と連携し取り組んでいる。また、企業や研究機関との連携を通じて、先進的な機器の導入も進めている。例えば、子どもたちがロボットとコミュニケーションを通じてコミュニケーション意欲や伝えたい気持ちを高める実践などがある。また、個々の特性を合わせたアプリケーションセットということについて、GIGAスクール構想で導入されたタブレットにはアプリのインストールに制約があるが、リソースセンターでは子どもたちの実態に合わせたアプリを用意し、各学校に導入する流れを作りたいと考えている。さらに、外部専門家の招聘も行い、先生方に指導をしていただいている。ICT・ATリソースセンターを中核として、地域に開かれた形で多様なテクノロジーを導入し、特別支援教育のさらなる充実を進めてまいる。
 なお、特別支援教育に特化したICT・ATリソースセンターの設置は、全国的にもあまり例がない思われる。
 基本的には、センターに機器が集約されており、要望に応じてそれらの機器をブロックリーダーが持参したり、学校の教員に貸し出すということを想定しているが、センターでは機具を試すことができるスペースも用意されており、必要に応じて子どもたちに機器を実際に試してもらうこともできる。2か所のセンターには、45種類ほどの先進的な機器やアシスティブ・テクノロジーが導入されており、これらは県教委が購入したもの。主に支援用のICTツールであり、一部はプログラミング教育にも利用できる。導入にあたり、新潟大学の山口俊光先生の情報を参考にした。今後も活用実績を見ながら、さらなる増加を検討していく。(長野県特別支援学校ICT活用推進ブロックローダー代表 青木高光教諭)


 本取組は、第4次教育振興基本計画の中に障がい特性に応じたデジタルを活用したサポート体制の構築というものがあるが、その一環として行っていくもの。障がいのある児童生徒の学校での学びや生活がより豊かになるということや、これまで他の人とのコミュニケーションが困難であった子どもたちがコミュニケーションができるようになる、そのことによって社会参画につながるという結構壮大なことを考えてのリソースセンターである。予算の関係もあり、どの程度まで大きくできるか未定であるが、我々としてはICTやATの力を借りて、障がいのある子どもたちが社会参画までつながっていくようにと。まずは学校の中での学びや生活が豊かになっていくようにということを期待している。(内堀教育長)

 

 

【「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の長野県の状況について】
 本日、文部科学省が実施した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」について、定例会で報告した。文部科学省が実施した調査によると、長野県の児童生徒の不登校が増加しており、その数値は過去最高になっている。特に平成28年から29年と令和2年から3年においては増加が著しい。この要因としては、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の制定や新型コロナウイルスの影響が考えられる。不登校の理由は複雑であるが、全ての児童生徒に学びを保障することや学習環境の向上、相談支援体制の充実などが重要だと考える。そのため、児童生徒への相談体制の充実やSOSの出し方や気づきの感度の向上を支援する取組、市町村が設置する教育支援センターの機能の拡大、学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)を含めた多様な学びの場の在り方や選択肢に関する検討、不登校児童生徒支援のための教員の増加などに取り組んでまいる。
 長野県でのいじめ問題について、教員と子どもたちの声によっていじめが発見されていることが特徴として挙げられるが、教員が子どもたちをきめ細かく見守り、様々な手段を用いていじめを発見しようとしていることの現れである。現在、30日未満であるものの欠席が多く、支援が必要な児童生徒に対して各校がどんな支援を行っているのか、その支援をより充実させるためにはどんなサポートが必要なのかという調査を行っている。結果について今後公表を予定しおり、今後の不登校支援について検討をする際の資料としても活用していきたいと考えているところ。
 教員業務支援員の増員や、フリースクールとの連携、不登校特例校の形態について検討を進め、子どもたちの学びを保障し、学校が安全・安心な場所となる取り組みを行いたいと考えている。(内堀教育長)

 


【令和6年度公立学校教員採用選考状況について】
 今年度から中学校の学級担任を経験した講師の1次を免除する枠を設けたが、このことによって、昨年度は社会人選考で受けていなかった9名が新たに受けたという事実は、掘り起こしができたという成果があったと考えている。
 妊娠出産育児の人が受験しやすいように、採用を最大2年間猶予したことについては、現時点ではまだ希望等を全て把握できているわけではなく、何年かこの制度が使われていくうちに周知されて、志願者数が増えるということが考えられる。
 来年度の採用選考については、実施期日等も含め、現在検討中であり、次回の11月の定例会あたりで発表できればと考えている。
 大学推薦選考では、昨年から推薦要件を緩和したため、推薦されたとしても必ずしも合格できるわけではないことは大学にも伝えている。要件をかなり厳しくすると、限られた数の中で推薦者は全員合格となるが、門戸を広げ、実際の試験の中で審査をし、適正のある方を採用したいと考えている。(加藤義務教育課長)

 教員の志願倍率が減少しており、教育を志す学生の数も減少している状況だが、教員を増やすための方法として、教員採用の在り方を見直すことや、教職の魅力を伝えることが重要だと考えている。教員はブラックというイメージがあるが、実際にはやりがいを持って働いている人も多い。ただし、教員になるためには多くの単位を取得しなければならない制度があり、大学の在り方も厳しさを増している。このような原因もある上で、最も主な理由として考えられるのが、現在の講師の数が減ってきたことである。正規率が上がれば講師も減る。学校現場にいる講師の数が減ってきて、例えば欠員といって正規を充てられない場合の講師を探すのが課題となっている。この問題を解決するために、教員の魅力を伝えて学生の興味を引き、講師の契約期間を長くするなどの取り組みが必要である。ただし、これらの施策が即効性を持つものではないため、長期的な視点で対応する必要がある。教員の働き方改革を進めながらも、やりがいのある仕事だというメッセージを伝え、教員志望者を増やすための施策と仕組み作りに取り組む必要がある。
 長野県教育委員会では、学びの充実と協働的な学びの視点を重視し、教員以外の多様な大人や専門性を持つ人々との交流や対話を学校教育に取り入れることが重要であると考える。教員志願者の減少や講師数の減少に対して、教員免許を持たない人々も学校教育に関わることができる方法や免許状発行のシステムを検討している。(内堀教育長)

 

 

【令和5年度「スマホやPC、ゲーム機等とのよりよいかかわりに向けたアンケート」調査結果について】
 GIGAスクール構想により、日本の学校での端末利用が増えてきたことが良い点として挙げられる。それにより、家庭でも端末利用が広がり、学年が上がるごとに利用率が増えている傾向がある。また、高校生にあがるにつれ、平日の端末利用時間が減っている傾向にあることについては、使い方の向上やリテラシー教育の影響が指摘できる。しかし、平日に6時間以上利用している子どもたちも存在し、身体的な影響などが懸念される。学校での管理の方向よりも、個々の適切な判断力やリテラシーの向上に重点を置くべきと考えられる。(内堀教育長)

 今後の取組の一つとして掲げている、「性暴力防止のための児童生徒支援マニュアル(仮)」の作成に関して、県民文化部や県警の担当者と協力し、今後検討してまいる。関係者は、予防的な対策だけでなく、被害が起きた場合の初動対応も含めたマニュアルとなる予定である。このマニュアルは学校の教員や保護者、児童生徒を対象に、相談やSOSを出せる場所があることを周知するためのもので、来年度中を目途に作成し、県教委だけでなく、教員や保護者、子どもたち、警察とも共有していく。
 作成に至った経過であるが、特別なきっかけではなく、数年の積み重ねの中で、アンケートや心の支援課への相談、現場からの声を受けて、このマニュアルが子どもたちを救い、予防につながるのではないかということで作成への検討が始まった。教育委員会だけでなく他の部局や警察とも連携し、社会課題に対して取り組むために大切なことだと考えている。最終的には被害者や加害者が減るように本マニュアルが活用されることを期待している。(召田 心の支援課長)
 

お問い合わせ

教育委員会 

電話番号:026-235-7421

ファックス:026-235-7487

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