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更新日:2018年12月21日

長野県教育委員会地域懇談会(長野県立大学)

長野県教育委員会地域懇談会を長野県立大学で開催しました

県立大1県立大2

日時

平成30年11月28日(水曜日)午後1時から2時まで

場所

長野県立大学

出席者

[県立大学]こども学科長

[幼児教育関係者]長野市保育・幼稚園課課長補佐、認定こども園朝陽学園園長、長野大橋保育園園長、幼保連携型認定こども園吉田マリア幼稚園園長計4名

[県]こども・若者担当部長

[県教委]教育長、教育長職務代理者、教育委員、教育次長、関係課長以下計11名

テーマ

「幼児教育の現状と今後の展望について」

懇談の概要(主な発言内容)

幼児教育のあり方検討会の様子について

(こども学科長)

幼児期の遊びというのは、幼児期の重要な学習であるということは、保育関係者の中では当たり前になっているが、「遊びは学び」と言ってしまうと、誤解をしてしまうことがある。そのため、「遊び」というのを共有できる形にしたいという意見があった。幼児期の子どもは強制された活動は苦手であり、自分からやりたいと思ったことに力を発揮していく。その一つの主体的な学びの形態が遊びであり、その遊びの中で、学童期の土台となるような力を身につけていく。これは幼児教育の関係者が知っているだけでなく、一般の方や保護者に知ってもらうことも必要になる。その時に課題になるのが、保育者が発信する力。保育者が内容を理解すると同時にそれを説明する力を養わなければならない。

また、資質向上というと、すぐ研修となってしまうが、既に研修はいろいろなところで開催されている。その各団体が行っている研修の中でも、全ての幼児教育関係者に共通できることは共通化して、質の担保をしていきたいと考えている。それ以外にも、園内研修を充実させていくことも一方で課題だと認識している。そのためにアドバイザーの活用を考えている。その他、特別な支援が必要な子どもへの対応や虐待を受けた子どもへの対応など、保育者の資質といっても多岐にわたっている。

各園の取組等について

(長野市)

公立保育園の研修が何回あるか数えてみたところ27回研修があり、昨年より多くなっている。自分が研修の講師になることも度々あるが、その中で、いつも強調しているのが「愛着」があってこその教育ということを言っている。自分が愛されているという確証がないままに、何かをしなさいと言っても聞く耳を持たないと思っている。最近は愛されていない子どもが多いなと感じている。保育士には、「子どもが100回泣いたら100回抱っこしてあげてくださいね」と子どもの気持ちに寄り添えるような保育士になってほしいと思っている。幼児教育は、すぐに結果が出るものではないので、10年先、20年先にどんな大人になっているかだと考えているので、焦らずに保育をしていきたい。

(朝陽学園)

認定こども園として11年ほど経つ園で、県内では最初に認可いただいた。園として大切にしているのは、俗にいう「いい子(先生の言うことを聞いてしっかりやる子)」では、これからの時代を背負っていく子どもたちが育っていかないと考えているので、自らが興味あることに没頭し、遊び込める、そういった子どもを育てたいと思っている。それが、いずれは自ら学びに向かい、課題に向かっていく力がついていくと考えている。願いとしては、愛情豊かに育って「自分はイケてるな」「できるな」と幼児期に思ってもらい、いろいろなことに「何でもチャレンジしていけるな」というような、「感覚」を養ってもらいたい。園の先生たちにも、そのような環境を整えていこうという話をしている。研修については、若い人たちがやりがいを持ってもらって、「この仕事って楽しい」と思って長く働き続けてくれる環境を作っていきたいと考えている。その中で「同僚性」というのを大切にしており、研修という形ではないが、先輩、同僚と振り返りや意見交換をできる時間を確保するようにしている。

(長野大橋保育園)

開園以来、0歳からの保育をやっており、学童保育、支援センター、一時預かりもしている。その中で、親の姿を見ていると、1歳くらいの子を持つ親は食事面を気にしている。本当は固形物も食べられるのに、のどに詰まらせるのではないかという心配、アレルギーになるのではないかという心配などがある。そんなこともあり、支援センターでは食育講座を開催している。また、昔「村社会」があったのが、今はなくなって、子育てについて人と話をする機会が減ってきて、産んで初めてお母さんになる、どう子どもと接し、関わればいいかわからない、そんなような状況で、泣いたら困るからスマホを出す、というように、ひと昔前と違い親子の関係が難しくなっていると感じている。

子どもの成長を見ていると、1歳くらいになると、言葉では発せなくても大人の言うことをいろいろと理解できるようになる。例えば、お友達が楽しくおもちゃで遊んでいるとそれを取りにいく、親からするとそれはお友達のだからダメでしょという感覚になるが、子どもからしてみたら、楽しそうにしているから興味があって取りに行くだけ、その時取られた子どもは泣く、そうすると取った子どもは何で泣いているのかわからない、けれど、それを言葉に変えて説明してあげれば子どもはしっかりと理解する。それで人生で初めてルールがあることを知り、やりとりを覚える。そういう経験を積み重ねていくことが大事で、幼児教育というものがいきなり始まるのではないと思っている。しかし、その根底には親子との愛着がなければ、何を言っても上の空になってしまう。

また、園では危険な遊具(ターザンロープ、ツリーハウス等)もあえて置いておく、危険な思いをしたときや、痛い思いをしたときに、その時自分はどうすればいいのかというのを考えさせるようにしている。その他、周りの自然環境も使いながら、自分の好きな遊びを存分にできるようにしている。

研修としては、保育園、小学校、中学校、高校、大学の先生も入っている一つの勉強会があり、そこで、自分たちの育てた子どもたちがどういう風になっているか学ばせてもらい、自分たちが何をしなければならないのか考えている。

(吉田マリア幼稚園)

カトリックの園なので、宗教教育とモンテッソーリ教育の2本を柱として活動している。平成26年から認定こども園になったことで、3歳未満の育ちを見ることができるようになり、3歳から上の育ちをより深く見ることができるようになった。先ほどから愛情豊かにという話が出ているが、私たちの園でも、自分も他人も神様から創られた大切な存在であるということを中心に、一人一人がかけがえのない存在として愛されているということを伝えている。また、愛を受けることによって愛する者になることができるということを、先生たちと共有し大切にしている。もう一つのモンテッソーリ教育は、英才教育というイメージを持ってしまいがちだが、自分で考えたり工夫をしながら判断し、行動していくという人間を育てる目的がある。子どもたちが成長していく道筋があり、子ども達が自分で選ぶ、選んだものにしっかり関わる、関わったものを最後までやり抜く、やり抜いたことで達成感を味わう、という4つのステップを繰り返すことによって、内面から安定し、心が育っていき、思いやり、あたたかい心も育つ。そういったモンテッソーリ教育の考え方を生活全般に取り入れて保育を行っている。

また、入園に関して希望者を全員受け入れていることから、最近は発達に課題がある子どもも増えてきており、診断を受けている子どもだけでも今年度は16人在籍しており、ほとんどが自閉症スペクトラムという診断を受けている。いくつかの発達支援センターと併用している子どもたちも多くおり、職員はその子どもたちへの支援を学んでいるが、その子どもたちの支援を学ぶことによって、その他の子どもたちへのかかわりが、より深くできるようになってきていることは、とても良いことだと考えている。

研修に関しては、幼稚園として運営していた頃は1日休園にして参加することが可能だったが、認定こども園になってからはそれが難しくなったため、それぞれの先生が自分で選んで研修に参加し、それを園内で伝達研修という形で共有するようにしている。

(矢島委員)

改正児童福祉法で、子どもが権利の主体であることが明記されたことを共通理解することが、子どもの最善の利益につながると思う。残念なことに、今の社会では、若年出産や孤立していたりで、虐待をしてしまったりする親も増えていっている状態で、そのような子どもたちが0歳から保育園など入っているという現状があるので、保育者の負担が大きくなっていると思う。そういった事情を理解するうえで、もちろん研修は必要だと思うが、現状で全員が研修を受けるというのは難しいということであれば、幼児教育支援センターの機能として、必ず専門的な人がいて、そこに相談すれば、何らかのアドバイスをもらえる体制としてもらいたい。また、幼保小の連携が大切だと思うが、家庭環境が厳しかったり、兄弟が小学校で不登校だったりすると、それを見ている子どもも登校渋りをしたりする。そういった家庭環境も含めた、個人の特性だけでない、切れ目のない情報共有というのが必要になってくるのかなと感じている。

(中澤委員)

指針が変わって、いろいろな組織が一つになり始めたところで、保育園、幼稚園、こども園の横の繋がりが必要になってくると感じている。それぞれが、それぞれの現場の良さを共有しつつ、学びあっていくような研修を作っていけるといいのかなと思う。子ども達の何かの力が育つというよりは、幸福感のようなものを感じられるような日々を送れることが大事なのかなと考えている。

(教学指導課)

あり方検討会のなかでも、それぞれの園種の方に集まってもらう中で、横の繋がりが始まりだしていて、手ごたえを感じてきている様子。県としても、そういったことを大事にして、共通化できるものは共通化して学べるように研修を組み立てていきたいと考えている。また、保育者の先生がなかなか外に出られない事情も聞いているので、アドバイザーが園種を超えて回れるようにしたいと考えている。

(耳塚教育長職務代理者)

ジェンダー研究というのが保育の実践の中で、どのように扱われているのか。ある幼稚園のグループ分けで、男女にきれいに分かれていて気になるところがあった。

(朝陽学園)

男女を分けるようなグループ分けはしていないが、男の子、女の子とそこまで意識しないで遊んでいると思う。

今の時代なので、男の子だからこういう遊び、女の子だからこういう遊びという意識すべきじゃないと思うし、大人の感覚で悪しき方向にいかないように意識している。保護者とも話すときにも、性的分業という話やイクメンになろうというような、一緒に子育てやっていこうという橋渡しになれればと考えている。

(長野大橋保育園)

特に男女の区別はしていないが、グループを作るときは、男の子、女の子関係なく誰もがリーダーという意識を持つように、お友達へのお手伝いや自分が何をすればいいのか、と考えるようなグループ作りをしている。そこで、ちょっとしたバトルが起きることもあるが、お互いの意見、心の表現をしながら決めていっている。

(吉田マリア幼稚園)

年長くらいになると、女の子同士だけで遊びたいという気持ちも出てくるので気を付けている。状況にもよるが、うまく誘導して差別につながらないように、指導をしている。

お問い合わせ

所属課室:長野県教育委員会事務局教育政策課

長野県長野市大字南長野字幅下692-2

電話番号:026-235-7421

ファックス番号:026-235-7487

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