ホーム > 環境部 > 「安全な農産物の供給・農地土壌の変遷」に関する試験研究

ここから本文です。

更新日:2020年5月27日

農業試験場

「安全な農産物の供給・農地土壌の変遷」に関する試験研究

 農地土壌は気象、地形、肥培管理等の自然的、人為的条件により常に変化します。この時間的経過に伴う変化を総合的に把握し、適切な土壌管理方法を明らかにすることを目的として、1979年から県下全域の農耕地土壌についてモニタリング調査を実施しています。また、地球温暖化防止のために農地土壌がどのような役割を持つか、農研機構や他県と連携しながら併せて調査しています。
 一方、農産物の安全に関する研究としては、農薬の環境中での動態や作物中の残留調査、土壌中に存在する重金属の植物への吸収を低減するための技術開発などを行っています。また、本県は古くから各地で伝統野菜を用いた地域特産物が数多く生産されていますが、これらは栽培面積が少ないため登録されている農薬が少なく、安定生産が難しい現状があります。これら地域の特産物の生産安定を支援するため、農薬適用登録拡大に関する取り組みも行っています。

これまで開発された技術の詳細についてはこちら(別ウィンドウで外部サイトが開きます)を参照ください・

現在取りくんでいる課題

長野県の土壌モニタリング調査

  長野県内の耕地面積は、現在約11万haです(2019年)。この中から代表的な250地点を選び、5年を1サイクルとして土壌の理化学性について調査を続けています(現在9巡目)。近年では、野菜畑・果樹園で可給態リン酸が過剰も存在する圃場は少なくありません。環境保全的・資源的な観点からも、十分にリン酸がある圃場では、施用を控える必要があります。また、水稲ではケイ酸資材の施用は年々減ってきており、水からの供給も水路の整備などにより減少してきています。水稲の生産安定には、十分にケイ酸質肥料を施用する必要があります。土壌の変化を総合的に把握することで適切な土地利用方式、土壌管理対策等を明らかにし、農業生産の向上と資源の保全に役立てることを目的としています。

畑地の土壌断面

水田の土壌断面

土壌断面調査


 

農耕地土壌の科学生の変化

図1:長野県農耕地土壌の化学性の変化

 県内全地域の定点圃場の化学性を調査、1~6サイクルの化学性変化についてまとめてあります。野菜畑土壌での全炭素量が減少していること(上段、中の図)、全地目でリン酸が増加傾向にあること(下段の図、緑の線)がわかります。野菜畑での全炭素量の減少は、良質な有機物の投入量が減少していることが示唆されます。また、リン酸が増加傾向にあることは、本県のみならず全国的な傾向で地域(圃場)によってはリン酸分の施用量を見直す必要があります。

地球温暖化対策に関する試験-温室効果ガス削減のための基礎データ

 地球温暖化は、主に二酸化炭素などの温室効果ガスの増加により起きると言われており、石油などの化石燃料を燃やして排出される二酸化炭素量の削減が求められています。植物は光合成により空気中の炭素を体内に取り込むことができ、枯れると土の中で微生物に分解されて、土壌中の有機炭素の元である腐植になります。地球上の炭素量のうち土壌中(地表下1mの有機炭素量)には2兆トン存在していると考えられており(OECD2003年)、全土壌のうち農業の影響は40%に及ぶと見積もられています。このため、土づくりを通して管理できる農地土壌は、二酸化炭素の大きな吸収源として注目されています。地球温暖化防止に向けて長野県の各種土壌中の炭素量実態を調査するとともに、有機物連用による土壌中炭素量の変化を明らかにし、農地土壌における炭素貯留の可能性を検討しています。
 図2から、土壌の種類によって、炭素貯蓄能力が異なり、黒ボク土は他の土壌に比べ炭素の貯留能が高いこと分かります。 
 また、図3の有機物連用試験結果から、長期間、有機物(堆肥など)を使用している土壌は炭素含有率が高くなっていることが分かります。土づくりの基本である有機物の施用は、地球温暖化対策としても有効です。

長野県農耕地における地目・土壌別土壌炭素量(0-30cm)

図2:長野県農耕地における地目・土壌別土壌炭素量(0-30cm)

※グラフは低い順より、最低値、25%値、中央値、75%値、最高値、丸印:外れ値、を表示
※なお各グループで左寄り平成20年、21年、22年、23年、24年、25・26年(2年に分けて調査)の順

 

図3:有機物の長期連用試験における炭素含有量の推移

 

 環境中における農薬の動態(残留)に関する研究

 植物体中の農薬成分を調べることで農薬の残効期間を明らかにし、効率的・効果的な防除技術の確立を目指しています。
 また、土壌中に残留しやすく、作物への移行が懸念されている農薬を散布した後、実際に作物を栽培して後作物への残留実態を調査しています。

 

マイナー作物における農薬適用登録拡大に関する研究

 長野県の各地の特産物の生産安定のためには、適期に病害虫防除を行う必要があります。しかし、品目によっては登録のある農薬が少なく、十分な防除ができない場合があります。そこで、県の地域特産物を対象に農薬適用登録拡大のために残留調査を行っています。また、地域特産物的な作物について栽培技術・農薬使用技術を指導するために、残留実態を調査して安全性を確認しています。さらに、農薬登録保留基準の見直しなどに必要な基礎データも収集しています。

 ズッキーニ  カリフラワー  ブルーベリー  ネクタリン

ズッキーニ

カリフラワー

ブルーベリー

ネクタリン

 
 農薬適用登録拡大のためには対象となる作物の病害虫に防除効果があるかどうかをみる試験の他に、収穫物に残る農薬が決められた値より少ないかどうかを試験する必要があります。様々なデータから慎重に検討するため、試験を開始してから実際に登録拡大になるまでには数年間はかかってしまいます。

 これまでに長野県が試験して適用登録拡大になった農薬は以下のとおり(PDF:80KB)です(2020年4月現在。失効になった農薬は除く)。
  

Adobe Acrobat Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。

お問い合わせ

所属課室:長野県農業試験場 

長野県 須坂市大字小河原492

電話番号:026-246-2411

ファックス番号:026-251-2357

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?