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更新日:2016年5月27日
長野県知事 阿部守一
皆さん、こんにちは。今から会見を始めます。(※手話で表現)
それでは、5月27日の会見を始めさせていただきたいと思います。本日は、大きく5点、部局長会議の事項が何点かありますが、部局長会議の項目を一つにしても4点を話していきたいと思います。まず、本日部局長会議で決定等行ったことについて、何点かお話を申し上げたいと思います。
まず、県立武道館の基本構想について決定を致しました。県立武道館につきましては、平成22年に長野県の武道連絡協議会から早期建設に向けた要望書を頂戴致しました。この要望書は17万人もの皆さま方からの署名とともに提出をいただいたわけであります。それ以後も関係方面からさまざまご要望ご要請いただく中で、しあわせ信州創造プランの中にも位置付け、その後、あり方検討会議、基本構想検討会議等において検討を重ねてまいりました。武道を取り巻く環境を見ますと、平成24年度から中学校における武道必修化という流れもあり、多くの方たちが武道に接する機会が増えてきています。しかしながら、長野県においては、多くの都道府県で、今、全部で43都道府県で都道府県立の武道館がある中で、長野県は武道館を持たずに対応してまいりました。しかしながら、大きな大会を開催するのに適切な施設が確保しづらい、あるいは部局長会議でも話が出ましたけれども、武道の特性から、私もこの問題に取り組むまで体育館があればいいのではないか、オリンピックの施設があるからいいのではないかというような感覚の時期もありましたけれども、やはり武道の特性から床の構造等一般の体育館とは異なるものが必要ということで、武道を振興するための中核的拠点としての施設整備が必要という結論に至りました。建設予定地につきましては、高速交通からのアクセスの良さ、あるいは用地の確保を見通し、こうしたものを考慮致しまして、佐久市猿久保地籍ということに致しました。本年度中に設計に着手をした上で、東京オリンピック・パラリンピックの前年、平成31年度中の供用開始を目指して取り組んでいきたいと思っております。今後、トップレベルの選手が出場する大会、あるいは指導者育成の場としても活用いただきたいと思いますし、ぜひ長野県としても施設整備を機に武道振興のビジョンを、教育委員会側になりますけれどもしっかり立ててもらって、競技力の向上あるいは武道の振興普及に取り組んでいきたいと思っております。またユニバーサルデザインの構造等によって高齢者、障がい者、あるいは子どもたち、こういう方たちにも親しんでいただくことができる施設を目指して取り組んでいきたいと思っています。
それから2点目でありますけれども、高等教育振興基本方針の策定でございます。長野県は地方創生の総合戦略を立て、そうした中でも高等教育の振興ということを大きなテーマに捉えて取り組んできております。これから地域を元気にしていく上でも、そして若者が地域に定着をしていく上でも、高等教育の充実強化ということは、これまでどちらかというと大学とは国、文部科学省が考える話ということで都道府県行政とはやや分野的には距離感がある分野でありましたけれども、今、私学・高等教育課ということで高等教育を専門的に担う部署も設置し、また、大学の皆さんも入っていただき高等教育の円卓会議も経済界とも一緒になってつくって検討を行ったりということで、高等教育を長野県政の中にかなり明確に位置付けてきております。今般、高等教育支援センターも設置したわけでありますが、県としての高等教育振興の方向性を示すという観点で、高等教育振興方針を策定を致しました。方向性としては、まずは高等教育自体の魅力の向上、それから県内大学、あるいは県外の大学との連携の促進、さらには経済界も含めた産・学・官の連携協力の一層の強化、そして高校生等に対して長野県の高等教育を発信していく、大きなこうした方針を掲げているところであります。この方針をしっかり実行していくことによって県内高等教育機関のさらなる振興、そして、長野県振興の拠点、あるいは知の拠点としての大学力の強化、さらには若者の県内定着、こうしたことに資するように県としてもしっかりと取り組んでいきたいと思っています。
それから部局長会議の3点目でありますが、冬季国体についてであります。「ながの銀嶺国体」、第72回国民体育大会冬季大会でございますが、平成29年1月27日から31日にかけて、スケート競技を長野市、そしてアイスホッケー競技を岡谷市と軽井沢町で実施します。また、翌月2月14日から17日にかけてスキー競技を白馬村で実施致します。4月27日に実行委員会を設けまして、大会実施に向けた準備を本格化しているところでございます。長野県における冬季国体の開催は平成20年の長野かがやき国体以来9年ぶりということでございます。「ながの銀嶺国体」は競技会場をはじめとして長野オリンピック・パラリンピックのレガシーを生かしながら、冬季スポーツと長野県の魅力を全国に発信する大会にしていきたいと思っております。また、県内四つの地域、東信・南信・中信・北信で競技を実施することになりますので、より多くの県民の皆さま方にぜひ参加をしていただきたい。式典あるいは競技の観戦であったり、あるいはボランティアとしての参画であったり、あるいは全国から訪れる選手団のおもてなしであったり、長野県全体で国体を盛り上げていきたいと思いますし、各県からいらっしゃる皆さま方をしっかりお出迎え、お迎えしていきたいと思っています。また、スキー競技につきましては白馬で実施ということで、神城断層地震で大きな被害を受けたわけでありますけれども、白馬の復興しつつある姿、元気な姿を発信する契機にしていきたいと思っています。ポスターがありますけれども、公募により決定致しました。山形県の石山憲明さまが作成をした原画作品と、それから大会のテーマ、スローガン、シンボルマーク、これらを組み合わせてポスターにしております。ぜひ皆さま方にも、今年はイベントイヤーで長野県から発信することがたくさんありますけれども、この「ながの銀嶺国体」についても、われわれも積極的にアピールしていきたいと思いますので、ぜひメディアの皆さま方にもご協力いただきますようお願い申し上げたいと思います。このポスターについては、日本体育協会の手続きを経て大会公式ポスターとなる予定であります。各方面に配布してPRしていきたいと思います。国体については以上でございます。
それから、「郷学郷就(きょうがくきょうしゅう)県づくり」、信州で学ぼう、信州で働こうという観点で、「信州でインターンシップ応援補助金」についてお知らせしたいと思います。お手元のプレスリリース資料をご覧いただければと思います。県内企業の魅力を感じていただき、学生のUターン就職につなげていくということを目的と致しまして、県外の学生が県内企業でインターンシップに参加するときの旅費、宿泊費を、1人当たり4万円を上限に助成していこうという制度を新たに創設致しました。これまで県が就職説明会等行っておりますけれども、参加者アンケートでUターン就職等をするときに困っていることとしては、8割の学生が移動にお金が掛かるということを挙げています。インターンシップを促進する上で費用面の課題があると認識しておりまして、今回こうした部分を応援して、学生の県内就職に1人でも多く結び付けていきたいと思っています。こうした取り組みは、これまで都道府県レベルでは島根、山口、大分でありますが、長野県含めて4県という状況であります。ただ、本県の特色は、通常は学生を対象にするか、あるいは企業側を対象にするかでありますけれども、学生、企業どちらでも対象にしている点が本県の特徴であります。ぜひ企業の皆さんにも学生の皆さま方にも活用していただきたいと思います。最近の県の調査によれば、Uターン就職率は約4割ということで、景気が回復すればするほどなかなか戻ってきてもらえないという現状があります。この制度の普及あるいは「郷学郷就県」ということで、長野県の企業の持つ強さ、素晴らしさ、こうしたものも含めて発信する中で、学生の地元定着あるいはU・Iターンでの県内就職、こうしたものを促していきたいと思います。
それから大きな3点目でありますけれども、しあわせ信州移動知事室についてでございます。これもプレスリリース資料をご覧いただければと思いますが、7月14日から16日までの3日間、今回は木曽地域で開催致したいと思います。豊富な森林資源があり、中山道を中心としたさまざまな文化があり、長野県全体、特色ある地域ばかりでありますけれども、その中でも木曽地域特有の風土を育んできた場所であります。先般、県内では初めて日本遺産にも認定されたところでございます。木曽については、行政的には一昨年の御嶽山噴火災害からの復興ということが大変大きなテーマだと思っております。そういう観点で、今回の移動知事室におきましては観光振興、災害からの復興対応であったり、あるいは南木曽の土石流災害が同じく一昨年ありましたけれども、こうした災害からの復旧復興状況について、私も直接現場を見させていただきたいと思いますし、また木曽地域が直面しているテーマ、県との関係では従前から木曽川右岸道路の整備促進というご要請等も頂いておりますので、地域の皆さま方のお考えをしっかり聞かせていただき、県の施策を充実、強化する契機にしていきたいと思っています。具体的な内容や日程は現在調整中でございますので、詳細が決まり次第、また皆さま方にお伝えをしていきたいと思いますのでよろしくお願い致します。
それからサミットが開催されているわけでありますが、まず本県としては9月の交通大臣会合を成功させるべくしっかり取り組んでいきたいと思いますが、特に今日はワインについてお話ししたいと思います。この4月に広島で開催されましたG7外務大臣会合でのワーキングランチ、あるいはご夫人方のディナーに続きまして、昨夜のG7伊勢志摩サミットのワーキングランチとワーキングディナーにおいてNAGANO WINEが提供されたということで、大変名誉なことだと思っておりますし、NAGANO WINEを振興していく上での大きな弾みにもなり得るものだと考えています。これまでも官民一体となってワイン振興を進めてきたわけでありますけれども、国内市場はもとより、成長著しい海外市場を見据えて国際展開も強化をしていきたいと思っています。今年度、新たにNAGANO WINEの専用サイトに英語版を創設することなどによって、ワイナリーの皆さま方の取り組みも県としてしっかり応援していきたいと思います。これからも長野県いろいろなイベントがございますので、地酒で乾杯条例、そして日本酒・ワイン振興室の設置、ございます。こうしたさまざまな機会を通じて長野県産のワイン、そして日本酒をしっかりと発信していきたいと思っております。
私の方からは以上でございます。よろしくお願い致します。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
ちょっと項目多くて恐縮ですが5、6点お願いします。最初に武道館の話なんですが、財政等の兼ね合いのお話と、なぜ今かというのと、具体的な武道以外の活用という3点からお伺いしたいんですが、最初に財政等の兼ね合いから、従前知事も財政等の兼ね合い、これについては何度もお聞きをしているんですが、一つ50億円の予算について県の持ち出しがどの程度になるのかというのと、ランニングコストについては財政当局から短期的な造るということについては起債すれば平準化は可能だというお話も説明されてきたと思うんですけど、毎年毎年のランニングコストの部分、その点をどのように考えられて建設を今回決断されたかというのを教えていただけますか。
長野県知事 阿部守一
武道館の建設については、財政的な観点、財政課との検討も踏まえた上で方針を決定しているところであります。特に今回、佐久市での建設ということにしておりまして、佐久からは財政的な部分も含めて地域が協力していくというお話を頂いておりますので、具体的な中身については地元の佐久市とこれから協議していきたいと思いますけれども、まず県の財政の全体像の中では十分対応し切れる規模だと思っています。運営コストの話は担当課の方からお話ししてもらいたいと思いますけれども、建設コストについては、今、村澤さんからお話もありましたように、基本的に起債で賄っていく部分が多くなると思いますけれども、ご承知の通り県債残高については臨時財政対策債を含めても縮減基調にやっと入ってきましたし、いわゆる建設事業債、普通の起債については一貫して減少させてきておりますので、そうした中で十分対応することが可能だと考えております。
スポーツ課長 小野沢弘夫
ランニングコストというお尋ねでございます。これから設計に入って実際に建設していくという段階でございますので、ランニングコストにつきましては、今の時点では、設計等ある程度固まってきたところでランニングコストが見えてくるものだと思っておりますが、今回の基本構想の中にありますように省エネルギー化とか、こういった視点でできる限り維持管理費等を抑えていくという前提で設計は当然組んでいくということでございますので、ランニングコストについては、そういった形でできる限り効率的なものを目指していきたいと思っております。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
具体的な50億円の中の県の負担見通しとランニングコストの具体的な数字というのは、それを検討した上で今回決断されたということなんですか。何か数字というのはあるんですか、根拠となる。
長野県知事 阿部守一
建設コストは約50億円と出していますけれども、あと佐久市との負担分は相手のある話だけども、どこまで言えるか。今申し上げたように、相手との調整ということになりますが、私が申し上げているように、財政的な観点でも、中長期の財政計画、例えばリニア関連道路の整備であったり、あるいは信濃美術館の建築であったり、そういうことが見込まれている中で、ランニングコストあるいは建設コスト、十分県財政の中で対応し切れるということで決定しています。ただ、具体的に詳細なものについてはこれから詰めていかなければいけないわけでありますけれども、今の時点で、一定程度県の負担分が多めに見通したとしても、十分対応できるだろうという前提で考えておりますので、そうしたことも含めて県としては判断させてもらっているところであります。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
いい知らせではないかもしれないですけども、そうすると全額50億円でも対応できるという試算をされているということですか。
長野県知事 阿部守一
もちろん、この計画自体を進めるに当たっても、建設による効果と、それから県民の皆さまの税金を原資にするわけでありますから、できるだけ効率化図っていく部分と、両面あり得ます。そうしたことは当然、私も責任を持って対応していきたいと思っておりますので、これから具体的な設計に入るので、今の時点でいくらいくらという細かい数字まで具体的に申し上げられませんけれども、基本的な姿勢としては、村澤さんが仰りたいようなことも念頭に置きながら責任を持って対応していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
別の視点から、なぜ今かというのをお聞きしたいのですが、前の村井知事も慎重な姿勢を示してらっしゃいましたし、近々では東京オリンピックというものがあるのかもしれないですが、少し先を見た場合に、2027年には、今、県の体育協会が夏の国体を呼びたいというふうな方針を示していて、当然その前の夏の国体ですとやまびこ国体、1978年、昭和53年の相当施設が老朽化してきているので、体育施設の再整備はある程度は避けられないかと思うんですが、その10年先とか国体まで見据えた全般的な体育施設の中で、今回なぜこれがこの順番で必要なのかという部分は、ちょっと教えていただきたいんですけど。しかも東京オリンピックに向けて、今日の資料にもあるように資材費の高騰等というのは、あえて高い時期に造る必要がなぜ今あるのか、ちょっとその辺を教えていただけますか。
長野県知事 阿部守一
さっき申し上げましたように、平成22年からご要請頂いて検討スタートしてきている中で、資材費の話も議論としてはあり得ると思いますけれども、逆に東京オリンピック・パラリンピックを契機にして、長野県のスポーツ振興も、あるいは日本全体のスポーツ振興もしっかり図っていこうと機運が高まっている中で、そうしたタイミングを捉えて施設を造っていくということが私は重要だと思っています。あと、今申し上げましたように、建設費に充てる県債も、ひと頃、県債残高について極めて長野県は高い水準でありましたけれども、いわゆる建設事業については財政改革方針等でずっと抑制基調で取り組んできています。そういう中で着実に県債残高も縮減する方向性が見えてきたわけでありますので、財政的な観点からは多額の負担でアップアップしながら、何とか対応しなければいけないという状況ではなくなってきていると思っています。そういう意味でかなりこの武道館、先ほど申し上げましたように県の教育の中でも占める役割が武道というもの自体大きくなってきておりますので、今の時期にしっかりとした施設を講じていくことが必要だと思っています。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
決まったわけではないですが、2027年の国体を見据えたですね、全体的な体育施設、そこまでのスパンを踏まえた上での検討はされているんですか。
長野県知事 阿部守一
国体については、今の段階で決定しているわけではないわけであります。関係団体あるいは市町村、こうした皆さんのご意見を伺う中で、どうしていくかということを今後考えていかなければいけない問題だと思っておりますので、もちろん、仮に国体を開催するということになれば、施設の整備というようなことも必要になってくる場合もあると思いますけども、当然これまで利用されているような施設の活用等も十分念頭に置きながら、効率的な開催ということを視野に入れて進めるべきものと思っております。ですから、今回、武道館を造ることが国体との関連で全く無駄なものになる得るものではないだろうと思っています。例えば、今回、弓道場等については飯田に弓道場がありますので、そうしたものについては今回の武道館の中には設置をしないということでありますので、今回の基本構想に当たっても既存施設の関係等については十分念頭に置いた上で対応させていただいております。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
武道館でもう1点だけ、他の施設、他の体育競技等も活用するというのがあるんですが、現実、天井が恐らく低くなるだろうという施設的な特徴があるかと思うんですが、武道以外ではどんな競技というものを想定してらっしゃいますか。
スポーツ課長 小野沢弘夫
武道以外の競技ということでございます。基本構想の中にありますように多目的に利用できるようにという中で、当然、床に関しては、先ほどお話ししたように、特殊な床を使うということになります。そうした中では、床に負荷がかかるようなスポーツは、例えばバスケットボールのように1点のところで負荷がかかるというようなスポーツに関しては武道団体の皆さまとも協議の上ということになりますが、なかなか難しいかと思っておりますが、例えば卓球ですとか、バドミントン、こういったものは他の県の武道館でも実施しております。そういった意味では、特にそういった形で床等に負荷がかからない程度のスポーツであれば受け入れをしていきたいと思っております。スポーツ以外につきましても、例えば、ある意味体育館的スペースにはなりますので、いろいろな大会とか食のフェスティバルのようなイベント、それから講習会ですとか研修会といった会場、こういったものに多様に使っていただけるものと思っております。
長野県知事 阿部守一
1,500席ありますけれども、武道以外のイベント等に使うと思えば、立席等入れてどれぐらいまで入れるか。
スポーツ課長 小野沢弘夫
多分ステージの組み方ですとか配置の仕方によってですけれども最大4,000 名ほど、下のアリーナ分も使って入るかと。通常使いだと大体3,000名程度と想定しております。
長野県知事 阿部守一
北信、東信、中信、南信を県全体見渡したときに、東信地域にはなかなか大規模な施設がないということもあります。今回は武道館でありますから、もちろん武道中心で運用を考えていますけれども、それ以外のイベント等にも広く活用いただけることを前提に施設を作る中で、利用率、稼働率がしっかり上がっていくように取り組んでいきたいと思っています。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
別の質問で、昨日、市町村長さんと協議の場があって、教育委員会、県教委と市町村教委との連携の場というか話し合いの場を知事がご提案されたと思うんですが、課題意識というかちょっと教えていただきたいんですが、例えば、昨年から実際人事に、先生たちの人事権については校長会から県教委の主導に変わってきたりですとか変化ができているのですが、今、教育行政を見たときに、こういった場を設けるというお考えになったその理由ということを少し教えていただけますか。市町村県教委と市町村をさらに県を交えた会合が必要というその理由というか。
長野県知事 阿部守一
いろいろなところでこれまでも申し上げてきていますけども、教育行政は非常に関係者が多い行政分野だと思っています。県、市町村、それぞれが執行機関として首長部局と、さらには教育委員会があるわけで、もちろん教員の人事だとか、あるいは教育の内容だとか、こういったところは教育委員会が責任を持って判断、対応していただくわけでありますけれども、しかしながら財源手当、予算措置と、さまざまな取り組みはかなりの部分リンクしてくる部分が多いわけであります。今まさに質問いただいた武道館についても、最終的には県の予算措置をどうするかというところが重要になってくるわけでありまして、教育行政の在り方を考えるときに、まず教育委員会と首長との十分な意思疎通、連携強化というのは避けて通れないと思っています。加えて、市町村との関係においては、特に義務教育学校については市町村立学校であります。市町村立学校は、当然のことながら市町村が設置、運営の主体になっているわけでありまして、そういうことを考えると、例えば市町村学校の教員の人たちも、いわゆる県費負担教職員の制度で県が財政負担しています。県が財政負担しているということは、例えば私が取り組ませていただいている施策でも30人規模学級をやるかやらないか、実際に形になるのは小中学校の現場であり、まさに市町村行政のテリトリーであるわけでありますけれども、しかしながら、30人学級やるときに教員の給与を負担するのは長野県であって、そして最終的に意思決定するのは県議会でありますけれども、その過程で方向性を議論するのは私の知事としての執行機関の役割であります。こういう意味で、教育については教育委員会と首長がしっかりと連携すること、それから、市町村と県との、首長、教育委員会をまたいだ問題意識の共有、方向性の共有、こうしたものが大変重要だと思います。そういう意味で、子どもたちのために、あるいは長野県の発展のためには、やはり市町村教委の皆さんも含めて一緒に話し合いをする場が必要だということで提案をさせていただいたところであります。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
具体的な進め方等というのは、イメージされているものはございますか。
長野県知事 阿部守一
県の一方的な意思でこれをやろうというわけにはいかないと思いますので、市町村の皆さんとよく相談する中で、お互い協力し合って取り組めるような分野を中心に考えていきたいと思います。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
ちょっと別の質問で、国政の選挙制度改革と知事会の動向について教えていただきたいんですが、先週、衆院で選挙制度改革が成立して、0増6減、0増4減で、長野県に関して言えば、北陸信越ブロックが1減る見通しになっていて、昨年の参院の方の選挙制度改革ですと、来月行われると言われている県区については2から1に減ると、合区になる島根、鳥取等の知事等からはかなり合区については抵抗があって、知事会ではこの春にまとめた研究会ですか、憲法改正も視野に進めていく合区の解消について検討すべきだというようなことがあって、最終的な知事会としての方針というのはまとまってないかと思うんですが、地域代表ということを考えた場合、衆院、参院についてどのようにお考えになるか教えていただけますか。
長野県知事 阿部守一
国の選挙制度改正の議論の詳細について承知している立場ではないので、具体的にどうだという意見を申し上げるわけにはいかないわけですけれども、この問題は1票の格差の問題と、地域代表的な色彩を現実に帯びている国会議員の在り方をどう考えるかというところが論点なんだろうと思います。憲法のところまでさかのぼって考えざるを得ないところは、やはり1票の格差、法の下の平等との関係で1票の格差というものをどこまでリジットに考えるべきなのかということだと思いますので、私は、やはり国民代表の選択の在り方っていうのはどうあるべきかというのを、最終的に憲法問題に行き着いてしまうわけでありますから、やはり国民的な議論が必要な分野だと思います。私は、地方行政を担わせていただいているわけでありますので、もっと突き詰めたことを言えば、国と地方の関係性だったり、要は国会の先生方に、今でも、先般も懇談会開催して地方の要望をお伝えしています。国がかなり地方の自治体に対して、財政的にも権限的にも、非常に関わっているという今の日本の行政の仕組みがある中で、国の事務と地方の事務が明確に切り分けられてない中での代表制をどう考えるかという観点で、私はしっかり検討していただくべき大きな論点だろうと思っています。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
議会の中で出ている憲法改正という手段で、参院について地域代表を位置付けるべきだという研究会としてはそういったまとめていらっしゃる、それについての見解というのはございますか。
長野県知事 阿部守一
今申し上げたように、1票の格差と地域代表制と、実際には、例えば私どもも地元選出の国会議員の皆さま方に長野県としての要請をお伝えしてきているという現状があるわけでありますので、国民の代表では制度的にもちろんあるわけでありますけども、しかしながら地域代表的な役割も現実には担っていただいている国会議員の在り方を国民全体としてどう考えるか、今申し上げたように、1票の格差をリジットに考えることを維持するのであれば、現行憲法の考え方を前提にするということになると思いますけども、いやいやそうじゃないと、やっぱり国政においても地域の声をもっと反映すべきだということであれば、制度改正、憲法の問題についてもどう踏み込んで検討していくというところにまで国民的議論がいかざるを得ない大変大きな問題だと思っています。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
別の質問で、いつもお聞きしている性被害条例の関係なんですが、6月県会招集日が決まった関係で、今ご検討されている状況というのを教えていただけますか。提出時期等を含めて、今どのような検討をされているかというのを教えていただけますか。
長野県知事 阿部守一
パブリックコメントを受けて、私も頂いたご意見を全部読みました。さまざまなご意見、前回も申し上げたように、条例制定については肯定的なご意見が多いと私自身も受け止めておりますけれども、細部にわたってはいろいろご意見を頂戴しておりますので、そうしたものについて、どう具体的に県として受け止めて対応していくかということを検討しているところであります。そうしたものの考え方をしっかり整理した上で、できるだけ早く方向性を示していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
もう一つだけ、サミットの関係で、今日、オバマ大統領が広島に訪問されるんですが、それについてちょっとコメントというか、初めて現職の大統領が被爆地を訪れるということについて、どのようにお考えになるか教えていただけますか。
長野県知事 阿部守一
被爆された方々、あるいは戦争を、私も遺族会の皆さんとも戦争の悲惨さについていろいろお話をさせていただいたりすることもありますけども、やはり原爆資料館も、オバマ大統領も行かれると報道では伺っていますけども、やはりこうした現実を現職のアメリカ大統領が自分の目でご覧いただく、そして被爆された皆さま方の思いも聞いていただく、こうしたことは大変重要なことだと思います。日本も、私はこれからも平和な国家であり続けなければいけないと思いますし、そのためには、世界の平和が保たれるように、われわれ一人一人ができることをしていくということが大事だと思いますけども、やはりアメリカ大統領は世界の政治に大きなリーダーシップを発揮できる立場でありますから、現職アメリカ大統領が被爆地を訪問して、そして自分の目と耳で広島の実態を把握されるということは大変意義深いことだと思います。ぜひ次のアメリカとしての取り組みにつなげていってもらいたいと思います。
日本経済新聞社 佐伯遼 氏
昨日の伊勢志摩サミットで、安倍晋三首相が現在の経済情勢についてリーマンショック前の状況に似ていると発言されました。今の長野県経済に関する現状認識を改めてお聞かせいただきますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
総理がどういう文脈でどういう発言をされたか承知していませんけれども、長野県の経済状況というのは有効求人倍率等の指標から見ると、かつてに比べると改善してきているという認識であります。しかしながら、業種別あるいは地域別には、まだばらつきがありますし、あるいは中国経済の影響ということも、特に外需中心のものづくり分野については影響が懸念されているところもあります。そういう意味では、これからの経済動向についてはしっかり注視をしていかなければいけないと思いますし、特に冒頭、「郷学郷就県」の話をしましたけれども、人手不足感が顕著になってきていますので、そうした分野のてこ入れを行政としても行っていくことが求められていると、大まかに言うとそういう状況だと認識しています。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
先だってもちょっとお伺いしたんですが、私、「信州アイドル最前線」という企画をやっておりまして、しあわせ信州応援アイドルの関根梓さんが所属するアップアップガールズ(仮)が、日本武道館のコンサートが決定したということで、コメントをもしも用意してあれば。
長野県知事 阿部守一
この間のご質問を受けて、今対応を考えていますので、スルーしないで対応するように今考えていますのでよろしくお願い致します。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
それの絡みなんですが、先ほど県立武道館のお話があったんですが、文化活動という中で、例えばこういうアーティストのコンサートだとかそういったものにも利用されるというお考えはあるんですか。
長野県知事 阿部守一
そうしたことにも活用できるような観点で、そうした音楽イベント等にも精通された方のご意見も聞いて構想を作っています。
スポーツ課長 小野沢弘夫
現在、いわゆるプロモーターの方をアドバイザーに入れておりまして、アドバイザーの方からはいろいろとさまざまにコンサートに使うときの施設の在り方といったようなことはお聞きをしております。そういった中で、設計の中でそれを反映させていきたいと思っております。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
先ほどの規模の4,000人、アリーナを含めて4,000人というのは、そういうコンサートとかでもやはり4,000人というような理解でよろしいんですか。
スポーツ課長 小野沢弘夫
コンサートの、当然ステージの配置ですとか、いろいろなステージをどう構成するかということによってだいぶそれは変わってくると思います。ですので、通常使う場合には3,000人程度、ある程度のステージを作ってということがあると3,000人程度は入るだろうと思っております。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
大北森林組合の方に話が移るんですが、2週間前の会見でもちょっとお伺いしたんですが、平成26年4月から実際に内部で発覚したとされる12月の8カ月間、この問題が表に出なかったという点なんですが、やはり県の検証委員会の最終報告書の方に、結局8カ月間の経緯っていうのは全く触れられていないというのがやはり気になりまして、作成されたのは検証委員会になるんですが、この点に関して、例えば県が調査結果を検証委員会の方に全てきっちり伝えたのに最終報告書から検証委員会の判断で漏れたというか書かれなかったのか、それとも県の方がそういう調査結果を、調査はしたかどうかというのは分からないんですが、調査結果というのを伝えなかったから出なかったのかというところをちょっと教えてください。
長野県知事 阿部守一
それは伝えているはずです。ちょっと正確な話をしてもらった方がいいと思いますが、別にわれわれは隠しているわけではなくて、そうした状況は共有をさせていただいた上で検証委員会の検討をしてもらっています。
人事課コンプライアンス推進室長 宮下克彦
そういった状況を逐一、検証委員会の先生方に伝えて、それも把握して最終報告できておりまして、大きく捉えて、本庁側の責任というものも重いということで、そういったことで大きく書かれていますけれども、その辺で含まれているということでございます。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
大きくと言っても、どう読んでもその本庁側の責任というのは、不正受給が行われていた当時に予算消化のプレッシャーを与えていたとか、そういった面での指摘しかなくてですね、その後、不正受給が終わって発覚して、内部で発覚して、それが調査に乗り出さなかったっていうのとはやはり別問題だと思うんですね。やはりそれは触れられてないと思うんですがそこはどう考えていますか。
長野県知事 阿部守一
調査に乗り出さないというのは、本庁が最初に報告を受けてからということですか。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
そうです。平成26年4月からですね。
長野県知事 阿部守一
それは問題があるんです。問題だから、私も12月に報告受けたときには何でこんなに遅いんだという話で、今回の懲戒処分の対象としてもそれを加味していますが、検証委員会の報告書に表現がないのか。全くないのか。
人事課コンプライアンス推進室長 宮下克彦
検証委員会の報告書では本庁の責任ということで大きく書かれていますけれども、その後県当局としましても調査を重ねて12月25日、処分をしたときに副知事の方からも説明致しましたように、そこのところの4月の対応、そこには大きい問題があったということで、その辺は12月25日の懲戒処分、そこで重く処分してございます。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
その懲戒処分の時も実際のところは8カ月間に関しての内容も、おそらく細かい説明ってなかったと思うんですが、例えばの中間報告。
長野県知事 阿部守一
発表したときに説明したと私は報告受けておりますけれども。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
本当ですか、じゃあもう。
長野県知事 阿部守一
あのときの議事録とかメモとかある。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
私、出てましたよね、副知事の。
人事課コンプライアンス推進室長 宮下克彦
小松記者は出ていまして、副知事それから総務部長の方から、その点、本庁の責任ということで重い処分をしたということで説明して、質問を受けております。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
処分したのは当然説明されてるんですが、要は4月からどういうふうに上がってという説明をこれ全くなかったと思うんですが、説明あれば僕分かってますけどね。
人事課コンプライアンス推進室長 宮下克彦
そこのところは、細かい点についてはその後のぶら下がり等、そういったところで説明したと思いますけれども、会見時、ここの会見の時は総務部長、それから副知事の方からその点もしっかり説明してございます。
長野県知事 阿部守一
たぶんレベル感が、うちはこの程度言っているとか、それじゃ足りないというレベル感の違いもあると思いますので、ちょっとそこはまた少し具体的に、ここをこう説明しているんだけどという話でちょっと確認してもらえればと思います。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
その後取材行っても結局、最終報告書に書いてあることが全てだっていうような答えがあって、最終報告書にはそもそも書いてないんでどうかなとずっと思ってたんですが、この中間報告書の時点で、おそらく県内部でもこの中間報告書に対する意見照会というのを当然内部でしてると思うんですね、そのときに、例えば中からこの8カ月間についての経緯について、最終報告書に、これから書かれる最終報告書に盛り込むべきではないかというような意見っていうのは寄せられなかったんですかね。そこら辺分かりますか。要は、いきなり検証委員会が最終報告書、パンと出たじゃなくて中間報告書があった訳ですよね、その中で8カ月間、これ僕非常に問題だと思うんですけど、ここの経緯っていうのが中間報告書に書いていなくて、そのときに県の内部でも意見照会っていうのをしたと思うんですね、林務部にこういう中間報告書に対する意見、その中で、県の職員の人から、県の中からその意見照会に対して、この8カ月間に対する経緯、要は本庁が放置したと、隠したと、そういうような、ここについても検査委員会で指摘するべきじゃないかっていう意見僕あったと思うんですが、そこについてはどう思いますかね。
長野県知事 阿部守一
あったかどうかは私は分からないですし、そんなに広く意見照会するべきような文章では多分ないので、ちょっと経過はもし林務部が分かれば言ってもらいたいですけど、基本的に、前回も申し上げたつもりですけど、全庁的な対応が遅れてしまった部分というのは極めて私は問題だと思っています。ご質問の趣旨がよく分からないですけれども、それが共有されてなかったとか公開されてなかったというところは、多分われわれのレベル感と受け止めていただいているレベル感の違いではないかと思うんですけども、決してそうしたものがなかったかのように対応しているつもりはないです。これは明言を私がここでさせていただいています。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
若干、確かにレベル感というか温度差というか、発表されてることと、取材して分かってることっていうのがやはりだいぶ違うんですね、例えば前回の会見でも、これは前回の会見でも指摘したんですけど、知事は大きな問題と捉えなかったんじゃないかっていうお話してましたけど、実際取材していると、北安曇の課長が飛んで来てるんで大きな問題だと認識していたと答えてるんですね、認識してんのに何でじゃあそれを報告しないんだってなると、これはまたお話ちょっと違うと思いますし、あとですね、前回の中で、対応として、調査よりも未完了のものを完了させる方を優先したというお話あったんですが、その翌日にうちが報じた、メールをちょっと報じた記事があるんですが、その中でも、北安曇の方の職員が本庁の方に対して出してメール中でも、要は本庁の方は未完了をきっちり完了させろっていうようなそういう行動がなかったというような趣旨も書いてあるんですね。恐らく知事が読まれたあのペーパー中にもそういうことって書かれてると思うんですが、そうすると本庁の方、なんか先ほどここで調査しなかった理由の方で未完了を完了させる方を優先したというふうにおっしゃってますけど、それもちょっと違うかなと思ってるんですね。そういう意味で、そのレベル感というよりもそもそも何か事実が若干違うなと思ってるんですけど、そこら辺についてどうですか。
長野県知事 阿部守一
そこら辺と言われても、これ今回の事案というのは本当にいくつかのパターンが含まれていますし、1件1件ただの期ずれであったり、そもそも実行されてなかったり、また年度によっても、恐らく職員の感覚も違っていたと思いますので、細かい話で抽象的な質問されてもちょっと私としては的確にどう答えればいいのかという話になるんですが、大きい小さいとか、その程度の受け止めっていうのは、かなり人とポジションと時期によってだいぶ変わり得る問題だと思います。私がいつも県の職員に言っているのは、ちゃんと問題を早く報告して対応した方がいいと、一担当者にとっては極めて大変な問題でも県全体から見れば、例えば問題だけれどもこれまでも経験してきた話なので、こういうふうに対応すればいいのではないかとアドバイスできるケースだっていっぱいあるわけです。そういう意味で、大きな問題だとか小さな問題だとかっていうのは総体的な話になってしまいますし、検証委員会あるいは大北森林組合の問題で、もちろん県庁内部の改革をこれからしっかりしていかなきゃいけないと、県庁の仕事のやり方、あるいは報告の仕方、そうしたものが大きな問題があることは間違いありません。ただ、その一方で、今回はその大北森林組合という組合の中で、今、裁判中ではありますけれども、悪意を持ってというか横領しようというような意思を持っていた人間が関わっていたとされている事案でありますから、やはり大北森林組合側の対応がどうだったのか、あるいは大北森林組合と長野県との関係性がどうあったのかということが、基本的には重要な論点でありまして、県庁内部の話、大北森林組合との県との関係の話、大北森林組合がどういう状況だった、大北森林組合の内部については調査権が刑事的な調査権ほど強い調査権がないので限界がありますけれども、そういう部分を解明するということが、おそらく検証委員会の皆さんの主眼に置かれていたのではないかと私は思っていますけども。
人事課コンプライアンス推進室長 宮下克彦
検証委員会の先生方も捜査権というほどではないですけれども、関係職員をヒアリングということでやっておりますし、県当局もその4月遅れたというところについては、大北、それから本庁の職員から細かい聞き取りをして、その結果として12月25日の処分ということでやっておりますので、その辺は全部含まれているということでございます。それから、今、関係公判ということで、その部分を証拠として採用されて公判に掛かるということで進んでおりますので、その公判を注目しているということは捜査権も含めた捜査も含めてうちの県も注目しているということで、その辺をご理解いただきたいと思います。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
1点気になる、検証委員会の先生方がそのままフォローアップ推進委員会やっていて、今改革推進委員会というふうに、今、まさに県の中の改革のやつをやっていくわけで、先ほどおっしゃられたような検証委員会の先生が、大北の内部も、これ非常に問題なんですが、これの調査に重点を置いて、主眼置いてっていうことになってくると、なんか若干、その先生が、今、内部の改革の改革推進委員会、昨日ですかね、立ち上がってやっているわけなんで、そういうのがもう少し内部の、県内部の問題についても、もう少し目を向けるべき、特にこの最終報告書ですね、だったじゃないかなと思うんですが、これは検証委員会の方に言えばいいんで別にいいんですが。そういう意味で1点だけお伺いしたいのが、前回も伺ったんですが、この8カ月間というのは、知事これ隠蔽(いんぺい)されたっていうような認識はないですかこれは。
長野県知事 阿部守一
隠蔽という言葉の使い方次第だと思います。少なくとも私に対する報告がめちゃくちゃ遅いと言っているわけですから。ありえないですよね、組織の対応としては。だから処分対象にするわけですから。その時点で対応をすれば、今、まだ大北森林問題、われわれでは現在進行形案件になっているわけでありますけども、本庁に対して報告が上がってきた後の対応のところだけ、今、ご指摘いただいたわけでありますけれども、そもそも現地機関の中でこの案件に携わってきた人間がどうして声を上げなかったのかということ自体が遅いわけです、完全に。そのこと自体をわれわれは深く反省して対応していかなければいけないと思っています。
朝日新聞 小松隆次郎 氏
何で声を上げなかったっていうと結局のところ平成26年に声を上げたって、結局上まで行かなかったわけですよね。そこら辺見ていけばなんとなく。想像でなんすけど。どうお考えですかね。
長野県知事 阿部守一
結局最終的には、職員の声を上げてもらったことが、今回の事案の解明に繋がったことは事実ですから。
人事課コンプライアンス推進室長 宮下克彦
今までも報道されておりますけども、現地の大北森林組合、そこの直接携わっている北安曇地方事務所、そこの職員の声によってこれだけの告発、それから職員の処分ということで進んだわけでございまして、それを生かしたということはあるんですけれども、確かにそこの現地の職員の声の受け止め、そこが本庁として足りなかったということもあったと、そこは真摯(しんし)に受け止めて処分をしているところでございます。今後、その辺を踏まえて、さらにそこのところ早い対応、それから林務部の改革推進委員会でも新しい委員を加えまして、さらに進化させて、その対応を図っていくと、そういった状況でございますのでよろしくお願い致します。
読売新聞 大木隆士 氏
先日、長野市の方でイトーヨーカドーが大型ショッピングセンターに改編されるというような考えが示されました。それ以外にも千曲でもイオンモールの計画があるということが一部報道がありますけれども、対応するのは現地の市といということになると思うのですが、県全体を考えてみたときに経済的な効果ということで、どのような受け止めをされていらっしゃいますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
個別の案件は、具体的な話を伺っていないので直接コメントできませんけども、県と市町村との関係で見たときに、私がずっと感じてるのは長野県におけるまちづくり行政の能力、まちづくり政策の充実、こうしたものを強化していく必要があるのではないかと思っています。市町村行政の分野のほとんどがありますが、しかしながら県も再開発事業の補助金を出したりする場合もあるわけで、まず、まちづくりの在り方というものを県としてもう1 回しっかり考えていく必要があるのではないかという問題提起を建設部にしています。県が直接関わって取り組むリーディングケースになり得るのが、恐らくリニアバレー構想の具現化のところになってくると思います。伊那谷自治体会議、私が座長になって市町村と県が本当に一体となって取り組んでいこうと思っていますので、いろいろなまちづくりというのはやはり地域の暮らされている方の思いもしっかり反映させていかなければいけない反面、20年後、30年後の社会の在り方がどうなっているかということも見越した上でのまちづくりが必要になってきますので、そうしたことは県と市町村がもっと対話をしながら行っていけるように県自身の対応力も高めていきたいと思っています。そういう意味で、個別の案件、このまちづくりの案件については、もちろん各市の問題、各市町村の問題ではありますが、全県的な視点でもう少し考えていることができるように県もレベルアップしていく必要があるというのが私の率直な感覚です。
読売新聞 大木隆士 氏
まちづくりっていうことですと中心市街地の関係ですとか、あるいは複数乱立して日照権の問題とかあると思うんですけども、そういうことも含めたっていう理解でよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
暮らし全般を、県と市町村との関係で全部県がどうこう指図したりするつもりは全くないわけですけども、しかしながら、県全体のビジョンとか方向性と、それぞれの地域のまちづくりの方向性というのはやはり統一感が必要だと思いますので、そういう意味で市町村の皆さんとの対話というのはまちづくりにおいても極めて重要だと私は思っています。
読売新聞 大木隆士 氏
別件でもう一つお聞きしたいんですが、高等教育振興ということが基本方針今回出されましたけれども、長野の大学の収容力の伸びしろということは分かるんですが、一方で、ずっと少子化ということはずっと全国的には言われています。大学経営必ずしも順調ばかりではなくて難しいところもあるようですけれども、そういう伸びしろとですね、少子化っていうデメリットの面をですね、どのように考えていらっしゃるんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そういうご指摘も県立大学の設置検討のときから随分されてきたわけでありますけれども、私はやっぱり地域が発展していく上では、やはり知の拠点としての高等教育機関がその地域にしっかり存在しているということが大変重要だと思っています。もちろん、例えば道州制がいいやとなったときには、別に道州の中であればいいやということで長野県内に別になくてもいいのではないかとなり得る話だと思いますが、私は大きな自治体ということにすることには基本的には消極でありますから、やはり長野県の中で高等教育機関をしっかり充実させていくということが大変地域の発展にとっては不可欠だと思っています。もとより地域に若者が定着するという観点でも高等教育機関の振興が重要であるわけですけども、長野県の大学進学者の県外流出者の割合というのは83%ですから、ほとんど県外に出ています。今伸びしろという話を仰っていただきましたけれども、もちろん希望する学部学科次第だと思いますけれども、県内に大学があれば残っていいと言う学生もいる中で、やはり過剰な流出だと私は感じています。8割以上が大学に行くときに流出している、あるいは人によってはせっかく積極的な選択、それは別に否定しませんけども、県外に進学せざるを得ないという状況はやっぱり大きな問題だと思います。そういう意味で高等教育機関の皆さま方の努力も重要だと思いますし、行政としても高等教育の振興にしっかり取り組んでいこうということで、今回の方針定めたところであります。
読売新聞 大木隆士 氏
県外の流出が8割を超えるというのはずっと続いてて、私としても驚きの数字なんですけれども、一方で移住したい県としては1位になっているわけですよね。その辺はすごくアンバランスがあるように感じるんですが、いかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
アンバランスだと思います。アンバランスだから、国には大学の、例えば首都圏の大学の収容定員をいまだに増加させているというのはやっぱり地方創生の観点から逆行だということを申し上げていますし、人の分散を図る上では、もちろん企業の分散も大事だと思いますけれども、もっと大学の分散、若者の定着という観点と地域の発展という両面からしっかり取り組んでいただきたい。先般の国への要請の中にも大学の問題は触れさせていただいていますので、これからも県としてもしっかり取り組んでいきますし、国に対しても、そうした考え方を伝えていきたいと思っています。
時事通信 金澤俊子 氏
サミットの関係でお伺いしたいんですけれども、9月に開催される軽井沢サミットの準備状況と、こういうサミットにしていきたいというお考えがあれば聞かせていただけますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
一連のサミットの関係、大臣会合の長野県はトリを務める形になりますので、ぜひ他の地域の会合に負けないようなおもてなしをしていきたいと思っています。5月24日にG7交通大臣会合長野県推進協議会の総会を開催したところでありまして、9月の会合までにこうしたことを取り組んでいこうということを決定致しました。これまでも、例えばフェイスブック、ウェブサイトでの情報発信であったり、あるいは節目の300日前、200日前イベントということで機運の盛り上げを図ってまいりましたが、これからもいろいろな情報発信をしっかり行っていきたいと思いますし、特に私がその場で発言し、産業労働部に指示したのは、一過性の取り組みにならないように長野県としての海外への発信というものをこの機会に強化をしていきたいと思っています。これから100日前、あるいは50日前においてもカウントダウンイベントを実施する予定でありますし、また直前の9月4日にも軽井沢町でイベントを開催する予定になっておりますので、ぜひメディアの皆さま方にも引き続き情報発信にご協力いただければと思います。また、今回の事業を小学生と参加国出身者との交流事業であったり、あるいは駐日大使館向けのPR事業であったり、こうしたこともしっかり取り組んでいくことによって、G7の国々から長野県という地域がしっかり意識していただけるようにしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
県立武道館に戻りますけれども、一つはなぜ既存施設では駄目なのかということです。さっき知事のお話にもありましたけど、長野県には他県にない五輪施設というものがあって、実際にエムウェーブで全国レベルの大会を開いたりしてるわけですね、武道の。それからあと支援施設を見ますと、例えば駒ヶ根市のように、かなり大規模な武道館を持っているところもあります。こういうところを活用できないのかということが1点と、それから、なぜそういうことを言うかというと財源の問題が絡んでくるからで、今の県の財政の状況からすると、借金の状況から見てとてもいいとは言えない状況です。そこにさらに大北森林組合の不正受給に伴う県民負担というのが新たに発生するわけです。そういう状況の中で、できるだけ新たな出費っていうものを抑える必要があるときに、既存施設を活用しないで、50億円掛けて建物を造るということに県民理解が得られるかどうか、こういうことについて。
長野県知事 阿部守一
どんな施設であれば県民理解が得られますか。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
既存施設を活用すればいいと。
長野県知事 阿部守一
まず、県の財政状況は先ほど申し上げたように、県債残高が縮減基調にあるということで、まずそこはご理解いただきたいと思いますがよろしいでしょうか。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
回復基調にあるっていっても、新たな借金を増やすことになるわけですよね。
長野県知事 阿部守一
回復ではなくて縮減基調です。
財政課長 岡地俊季
県債残高の推移でございますが、平成12年をピークに致しまして減少基調にございます。平成12年が通常債の残高で言いますと、1兆6,391億円でございましたが、平成26年度末では1兆268億円ということで、相当程度減少してきておりまして、このトレンドは変わらないと思ってございます。
長野県知事 阿部守一
臨時財政対策債があるので、見掛けはなかなか減らしづらいというところでありますけども、本来、県が交付税でもらうべき臨時財政対策債を除いた通常債については、着実に縮減させてきています。毎年300から400億円規模で残高減らしているということは、まずご理解いただきたいと思いますがよろしいでしょうか。その上で、既存施設のお話は、私もまったくご指摘のとおりだと思いますので、先ほども部局長会議でも教育長に念押しをさせていただいたところであります。また他の市の施設も使えないか、例えばオリンピック競技施設なんかは武道用に造っていないので、構造的に、例えば床の構造であったり、そうした部分で本格的な武道用としては必ずしも十分ではないと、他方お話がありましたように、県内には飯田とか駒ヶ根の施設もあるわけでありますけども、そうした施設は観客席がほとんど存在してないということで、大きな大会等を開催しようとしたときには、非常に十分な規模感が得られてないというようなことがあります。こういう中で、今回武道館を建設しようということで意思決定したわけでありますので、財政的な問題については、もちろんわれわれは常に最少の経費で最大の効果を上げるということを意識していかなければいけないと思っています。しかしながら、率直に言って田中県政以降、必要な投資が私は行われてこなかったという問題意識を強く持っています。これだけの大きな規模の県でありますから一つの建設事業を行いますと、それだけで極めて多額の財政を使うと、これだけの規模の施設を本当に必要なのかというご指摘はもちろん謙虚に受け止めていただきますけれども、だからといって何も造らないということになると、他県との競争力であったり、長野県自体の発展が私は阻害されると思いますので、そういう意味では、もちろんコストの削減、そうしたことには意味を持ちながらも、しかしながら必要な機能、県産材の活用であったり、バリアフリー化であったり、そうしたことについてはしっかり予算を投入しなければ、これは逆に10年後20年後は中途半端な施設を造ったという話になりかねないので、こういう両面をしっかり考えながら、より県民の皆さま方に使いやすい、そしてご理解いただけるようなものもしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
大北事件で生じる県民負担との兼ね合いはいかがですか。
長野県知事 阿部守一
大北森林組合の問題については、今、林野庁と協議をしているところであります。大北森林組合の問題があるから、県民の必要な施設については、土俵が同じことにして検討しないとかやめるとか、そういう判断には、この段階でそういう判断をするようなものでは私はないだろうと思っています。もちろん大北森林組合の問題については、県民の理解が得られるように真摯に対応していきたいとに思いますが、片方で武道館に限らず、私も長野県としてはやるべきことがたくさんあるわけであります。取り立てて武道館だけ取り上げて論ずるということは、私は少し論点が違うのではないかと、それであれば、もっと全体的な財政の問題を深く理解していただいた上でご議論いただきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
ありがとうございました。
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