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更新日:2015年11月25日
平成8年3月25日
条例第13号
改正平成11年12月20日条例第45号
私たち長野県民は、日本アルプスの雄大な山々、豊かな森林とそこではぐくまれた清らかな水など、四季折々の変化に富んだ美しく豊かな自然の恵みの下、歴史を刻み、文化を築き上げてきた。
しかしながら、資源やエネルギーの大量な消費、廃棄物の大量な発生を伴う今日の社会経済活動は、私たちの生活に利便性や物質的な豊かさをもたらした一方で、自然の生態系に影響を及ぼし、地域の環境のみならず、すべての生物の生存基盤である地球環境までもが損なわれるおそれを生じさせている。
長野県は、これまで、人の健康や生活環境に対する被害を防止するとともに、国民的財産である本県の自然環境の保全に多大な努力を払ってきた。今後、さらに、環境を良好な状態に保ちつつ、より快適な環境を創造するとともに、地球環境の保全へも積極的に貢献していかなければならない。
もとより、すべての県民は、健全で豊かな環境の恵沢を享受する権利を有するとともに、この環境を将来の世代に引き継いでいく責務を担っている。
ここに、すべてのものの参加と連携の下、自然と人とが共生し、環境への負荷の少ない持続的に発展することができる郷土を築くため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに県、市町村、事業者及び県民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(基本理念)第2条 環境の保全は、県民が健全で豊かな環境の恵沢を享受するとともに、この環境が将来にわたって維持されるよう適切に行われなければならない。
2 環境の保全は、すべてのものの適切な役割分担の下、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を構築することを目的として、自主的かつ積極的に行われなければならない。
3 環境の保全は、地域の環境が地球環境と深くかかわっていることにかんがみ、すべての事業活動及び日常生活において地球環境の保全に資するよう行われなければならない。
(県の責務)第3条 県は、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。
2 県は、市町村が行う環境の保全に関する施策を支援するよう努めるものとする。
(市町村の責務)第4条 市町村は、県の施策に協力するとともに、環境の保全に関し、当該市町村の自然的、社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施しなければならない。
2 市町村は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、県及び他の市町村と連携を図るよう努めなければならない。
(事業者の責務)第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、次の各号に掲げる事項について必要な措置を講じなければならない。
(1) 事業活動に伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全すること。
(2) 事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られるようにすること。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、その事業活動を行うに当たっては、次の各号に掲げる事項に努めなければならない。
(1) 事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄される段階において、廃棄物の減量等環境への負荷の低減が図られるようにすること。
(2) 生成資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用すること。
3 前2項に定めるもののほか、事業者は、その事業活動に関し、環境の保全に自ら努めるとともに、県又は市町村が実施する環境の保全に関する施策に協力しなければならない。
(県民の責務)第6条 県民は、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、県民は、環境の保全に自ら努めるとともに、県又は市町村が実施する環境の保全に関する施策に協力しなければならない。
(施策の基本方針)
第7条 県は、次に掲げる基本方針に基づき、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するよう努めるものとする。
(1) 生物の多様性の確保を図るとともに、自然環境を地域の自然的、社会的条件に応じて保全しつつその適正な利用を図ることにより、自然と人との共生を確保すること。
(2) 大気、水、土壌等を良好な状態に保持し、自然の持つ自浄作用を確保するとともに、資源の有効利用等を促進することにより、環境への負荷を低減させる仕組みを構築すること。
(3) 自然環境と一体となった美しい景観や地域の歴史的、文化的な特性を生かした快適な生活環境を創造すること。
(4) 県民の意見を反映するとともに、自然を通じた人と人との交流を促進し、環境の保全に関する思想の高揚と国内及び国外への普及を図ること。
(環境基本計画)第8条 知事は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本となる計画(以下この条において「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 環境の保全に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の大綱
(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 知事は、環境基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、長野県環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 知事は、環境基本計画を定めたときは、これを公表しなければならない。
(施策の策定等に当たっての配慮等)第9条 県は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全に配慮するとともに、そのための総合的な調整を図るものとする。
(財政上の措置)第10条 県は、環境の保全に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境の状況等の公表)第11条 知事は、毎年、環境の状況、県が環境の保全に関して講じた施策の状況等を明らかにした文書を作成し、これを公表しなければならない。
第12条 県は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行う事業者が、あらかじめ、当該事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、当該事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(規制の措置)第13条 県は、公害の原因となる行為及び自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講ずるものとする。
2 前項に定めるもののほか、県は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。
(経済的措置)第14条 県は、事業者又は県民が自ら環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとるよう誘導することにより環境の保全上の支障を防止するため、助成その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(施設の整備等)第15条 県は、環境の保全に資する公共的施設の整備その他これに類する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(資源の有効利用の促進等)第16条 県は、環境への負荷の低減を図るため、事業者及び県民による廃棄物の減量及び適正処理並びに資源及びエネルギーの有効利用が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。
(環境教育及び環境学習の振興等)第17条 県は、県民及び事業者が環境の保全についての理解を深めるとともにこれらの者の環境の保全に資する活動を行う意欲が増進されるようにするため、市町村その他の関係機関と協力して、環境教育及び環境学習の振興、広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。
(民間団体等の自発的な活動の促進)第18条 県は、県民、事業者又はこれらの者の構成する民間の団体(第23条において「民間団体等」という。)が地域において自発的に行う環境美化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全に関する活動を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(情報の提供)第19条 県は、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ、環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。
(調査及び研究の実施等)第20条 県は、環境の保全に関する施策を策定し、及び実施するため、必要な調査の実施、試験研究の体制の整備、研究開発の推進及びその成果の普及その他の必要な措置を講ずるものとする。
(監視等の体制の整備)第21条 県は、環境の状況を把握し、及び環境の保全に関する施策を実施するため、必要な監視、測定等の体制を整備するよう努めるものとする。
第22条 県は、地球環境の保全に資する施策を推進するとともに、国、他の地方公共団体その他の関係機関と協力して、環境の保全に関する技術の供与、情報の提供等により、地球環境の保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。
第23条 県は、市町村及び民間団体等と連携を図り、環境の保全に関する施策を推進する体制を整備するものとする。
(国及び他の地方公共団体との協力)第24条 県は、環境の保全に関する施策の推進に当たっては、国及び他の地方公共団体と協力するものとする。
(設置)
第25条 環境基本法(平成5年法律第91号)第43条第1項及び自然環境保全法(昭和47年法律第85号)第51条第1項の規定による審議会その他の合議制の機関として、長野県環境審議会(以下この章において「審議会」という。)を置く。
(組織)第26条 審議会は、委員30人以内で組織する。
2 委員は、学識経験者等のうちから知事が任命する。
(任期)第27条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長)第28条 審議会に会長を置き、委員が互選する。
2 会長は、会務を総理する。
3 会長に事故があるときは、あらかじめ会長が指名した委員が、その職務を代理する。
(特別委員及び専門委員)第29条 審議会に、特別の事項を調査審議するため必要があるときは、特別委員を置くことができる。
2 審議会に、専門の事項を調査するため必要があるときは、専門委員を置くことができる。
3 特別委員及び専門委員は、学識経験者等のうちから知事が任命する。
4 特別委員は、当該特別の事項に関する調査審議が終了したとき、専門委員は、当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。
(会議)
第30条 会議は、会長が召集し、会長が議長となる。
2 審議会は、委員及び議事に関係のある特別委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席した委員及び議事に関係のある特別委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(温泉審査部会)第31条 審議会に、温泉法(昭和23年法律第125号)の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するため、温泉審査部会(以下この条において「部会」という。)を置く。
2 部会は、委員及び特別委員のうちから会長が指名する者10人以内をもって組織する。
3 部会に部会長を置き、部会に属する委員及び特別委員が互選する。
4 部会長は、部会の事務を掌理する。
5 審議会は、部会の決議をもって審議会の決議とすることができる。
6 第28条第3項及び前条の規定は、部会長及び部会について準用する。この場合において、第28条第3項中「会長」とあるのは「部会長」と、「委員」とあるのは「委員又は特別委員」と、前条第1項中「会長」とあるのは「部会長」と、同条第2項及び第3項中「議事に関係のある特別委員」とあるのは「特別委員」と読み替えるものとする。
(幹事)第32条 審議会に、必要があるときは、幹事を置くことができる。
2 幹事は、関係行政機関の職員のうちから知事が任命する。
3 幹事は、審議会の所掌事務について、委員、特別委員及び専門委員を補佐する。
(補則)第33条 この章に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、知事が定める。
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
2 以下略
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